着付けの資格は趣味だけではなく、仕事にも活かせる資格です。
しかし、いざ資格の取得を考えたとき「どのように資格を取得するのか」「着付けの資格や着物に関する資格の種類や違いがわからない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、一つずつ解説していきながら、着付けと着物に関する資格を紹介しています。
着付け師を目指したい方、着物に関する資格を取得したい方、着物の教室選びに迷っている方にも役立つ内容です。
着物に関する資格一覧
着物・着付けに関する資格は、国家資格と民間資格に分かれ、そのほとんどが民間資格です。
国家資格は「着付け技能士」のみです。
資格取得には、等級に応じて2年〜5年の実務経験が必須になるので経験者に向けた資格だと言えるでしょう。
こちらの記事で「着付け技能士」の資格を詳しく解説しています。
着付け師に必要な資格とスキルは?取得の難易度とともにご紹介民間資格とは
それぞれの団体や着付け教室によって、さまざまな名称の資格があります。
主催する協会や流派が分かれていることが要因ですが、一見同じような資格でも中身が異なります。
以下で、詳しく解説していきます。
きものコンサルタント
「装道礼法きもの学院」が主催。
「公益社団法人全日本きものコンサルタント協会」が認定する資格であり、国家資格に準ずる信用度がある公的資格です。
着物の専門家として、専門的な知識と着付け指導だけでなく、礼法や装道哲学をもった美しい生き方を指導できる人材の養成を目的とした資格認定を行っています。
着物の先生として指導できる「きものコンサルタント」の資格、礼法の先生としての資格「装道礼法講師」が授与されます。
受験資格は、2年以上の着付け指導の実務経験、または220時間以上の各種着物に関する教育期間が必要。
上級に進むには「装道礼法きもの学院」での6ヶ月間の講習を受けなくてはいけません。
資格を取得するためには、全国に5校ある協会の認定校、もしくは全国に約9,000ある認可教室で学ぶのが一番の近道です。
着物免許
「ハクビ総合学院」が主催。
「京都きもの芸術文化協会」が発行する免許です。
5級の準師範から1級の教授まで5段階あり、5級は初心者向け、4級で「きもの国際免許」を取得。
3級では自宅で教室を開催するための看板を取得できます。
他装を行う着付け師として認定されるのは2級から。
さらに上の1級を取得すると、ハクビ京都きもの学院で講師として働くための採用試験を受けられます。
きもの講師資格・着付師資格
「長沼静きもの学院」が主催。
1955年創業の老舗教室で、幅広い年齢層から支持されている教室です。
「きもの講師資格」(3級から師範)では、3ヶ月のレッスンで3級を取得することができ、着物を着たことのない方でも自装ができるようになります。
着付けだけではなく和のマナーや教養も学べるので初心者の方、すぐに資格を取得したい方におすすめです。
他装を徹底的に学ぶ着付師養成コースでは、プロの着付師だと認められる「着付師資格」(3級から1級)の取得も可能。
同時に、副業にも役立つ「きものプロスペシャリスト認定」資格の取得も目指せます。
着付講師認定証
「きものレディ着付学院」が主催。
「早く」・「キレイに」・「鏡を見ない」をモットーとした現代着付けを学べます。
「着付講師認定証」(3級から1級)では、最短8ヶ月で自装ができる3級の資格取得が可能。
1級着付講師認定証を取得後は、「准講師」「教授免許状」許状の取得を目指せます。
日本和装協会認定資格
「一般財団法人日本和装協会」が認定。
これまでに紹介した資格は、一つの着付け教室に通うことが条件でしたが、日本和装協会の認定証に関しては、認定校で取得することができます。
「京都きもの学院」「いち瑠」「いち利」に通うことで取得ができる資格です。
着物マイスター資格
「日本生活環境支援協会」が主催。
着物に関するあらゆる知識だけではなく、着物に合わせたメイクや髪型などの知識を有していることを証明できます。
受験資格はなく、在宅受験のため実技試験はありません。通信講座では最短2ヶ月で取得が目指せます。
過去問や公式テキストが市販されていなく独学では対策がとりづらいため、さまざまなスクールで通信講座が開かれています。
同時に「着付け方インストラクター」の資格取得も可能です。
取得方法と難易度
取得方法
民間の資格を取得するためには独学・通信講座・着付け教室に通う方法があります。
その多くは、資格を設けている着付け教室に通い、規定のカリキュラムを学ぶことで取得できます。
着付け教室によって、取得までの期間・費用が異なりますが、おおよその目安として自装・他装ができるようになるまでは1年以上はかかるでしょう。
難易度
ほとんどが初級・中級・上級または5級から1級のようにレベルで分けられています。
資格取得の難易度の目安として
- 自分で着物を着れるようになる(自装)
- 人様に着物の着付けができ、見せ方を教えられる(他装)
- 師範として、人様に着付けを教えられる
上記の通り、初級で自分の着付けができるようになり、趣味に活かすことができるでしょう。
次のステップとして、中級では他装ができるようになり、着付け技術を仕事に役立てることができます。
上級ではその道を極め、教室を開いて着付けを教える立場に達することができます。
師範として着付けを教える立場を目指すのか、お客様へ着付けができるようになり仕事に活かしていていきたいのか目的によって各資格のメリットが異なります。
取得する目的、レベル、ライフスタイルに合わせて最適な資格を選びましょう。
着付けだけじゃない!着物の知識を得るには
着物・和の文化を学べる資格
着付けだけではなく、日本文化のスペシャリストとして、着物の歴史や日本のしきたり、着物に親しむための知識を得られる資格を紹介します。
✔︎「きもの文化検定」
「一般社団法人全日本きもの振興会」が主催。
経済産業省・農林水産省・文化庁後援。全国各地の着物の特徴や、着物の部位・文様の名称といった、着物に関する幅広い知識が問われる検定試験です。
テキストが販売されているため独学による対策が可能。
5級から1級まであり、順次上位級を受験できます。
1級は合格率3%の狭き門なので、受験者の間でも「難しい」「極めて合格率が低い」と言われているようです。
和裁関連の資格
和裁にも国家資格と民間資格があり、国家資格は「和裁技能士」です。
和裁技能検定を受験することで取得でき、和服を仕立てる知識・技能を証することができます。
国家資格以外の民間資格を紹介します。
✔「和裁検定試験」
「全国和裁着装団体連合会」・「東京商工会議所」が共催。
4級から1級まであり、一般的な目安として仕事に繋げていくには2級以上、プロとして認められるには1級の取得が必要になります。
まとめ
着物に関する資格の種類について解説しました。
資格によって、身につくレベルや取得の難易度が異なります。資格を取得する目的に即して、どの資格を取得するか考えるとよいでしょう。
他のコラムでも、着物に関する内容や、着物・振袖業界へ転職するための役立つ情報をご紹介しています。
参考にしてみてください。