カメラマンとして仕事をするために必要な資格、持っていると役立つ資格はあるのでしょうか。
今回はカメラマンを志望する方や、フォトスタジオへの転職を希望する方に有利な資格、その概要や難易度についてご紹介していきます。
カメラマンを名乗るために必要な資格とは?
カメラマンとして仕事に就くために、必須とされる資格は特にありません。
カメラマンやフォトグラファーの場合、特定の資格というよりは、経験や創造力、センスなどが求められる場合が多いでしょう。
活躍する分野、例えば商業写真や広告写真を専門とするカメラマン、報道カメラマン、フォトスタジオで主に人物を撮影するカメラマンなど、専門とするジャンルによって活かせる強みや個性も異なってきます。
カメラマン、フォトグラファーの求人によくある条件
必須の資格はないことはお伝えしましたが、就職時に有利となる条件はあるのでしょうか。
例えば、フォトスタジオなどの「カメラマン」の募集で、求める資格やスキルがあるのか、求人情報の「求める人材」「優遇される条件」によく見かける項目をチェックしてみましょう。
- 写真関連の大学や専門学校を出ている
- スタジオ撮影経験の有無、経験年数
- レタッチソフトの使用経験、PCの使用経験
- 接客業の経験
- コミュニケーション力が高い
やはり特定の資格というよりは、実務に必要な経験やスキルとして掲載されることが多いようです。
持っていると有利な資格の取得方法、難易度は?
採用に有利となる要素をふまえて、カメラマンとしての将来性や、活躍の場を広げるのに役立つ資格を紹介していきます。
受験方法や難易度も解説していますので参考にしてみてください。
Photoshop®クリエイター能力認定試験
Adobe社のPhotoshopを活用して、フォトレタッチ技能や表現力を測定する検定試験です。
デジタル写真が主流である現在、レタッチの知識やスキルはフォトグラファーとしての仕事の一部と考えてよいかもしれません。
試験概要
認定資格にはスタンダードとエキスパートがあります。
スタンダードはPhotoshopの基本的な操作・作業を正しく行えること、エキスパートは目的に応じて創造性の高いコンテンツ制作ができることが試されます。
個人で受験する場合は指定の会場で随時、またはリモートWebテストで受験することも可能です。
難易度
実技・筆記問題の7割得点が合格ライン、2021年度の合格率は74.1%です(公式サイトより)。
公式テキストなど一通り勉強し、基本の操作やクリエイティブの技術を身につけていれば合格できる可能性は高い資格でしょう。
フォトマスター検定
写真やカメラの知識を趣味として身に着けたい方、カメラを扱う仕事に就く方におすすめなる資格検定です。
試験概要
年に1回実施、3級・2級・準1級・1級があり、受験資格は特にありません。
上級の「フォトマスターEX(エキスパート)」は、高度な実用知識、実績を持ち「写真の達人」を認定するものです。
エキスパートの受験資格はフォトマスター1級に合格している方に限定されます。
難易度
合格基準は各級とも7割程度の正答率となっています。
2022年度の合格率は3級が89.51%、2級は70.65%、準1級46.65%、1級は33.92%でした(公式サイトより)。
2級までは公式テキストや過去問題集を勉強することで、比較的取得し易い資格と言えそうです。
写真技能士
写真技能士は厚生労働省が定める国家検定制度の一つで国家資格でもあります。
1級から3級までレベルがあり、いずれも写真館での実務経験が必須となります。
1級の実技試験はスタジオでの和装肖像撮影、写真のレタッチ・修復という内容で、写真館における肖像写真撮影に特化した資格となっています。
フォトスタジオを中心に長く活動するカメラマン、将来的に写真館の経営を考えている場合は取得しておくと有利な資格です。
試験概要
試験は毎年前期と後期の2回実施されます。
概要や受験方法については、各都道府県の職業能力開発協会のWebサイトで確認しておくと良いでしょう。
難易度
写真館での撮影実務経験がない場合や、経験の浅い人にとっては難易度の高い資格でしょう。
その一方、フォトスタジオで成人式や七五三写真の撮影経験が十分にあるカメラマンにとっては、業務に直結する実技が試される試験のため、それほど難易度は高くないようです。
色彩検定
色や色彩について、感覚ではなく理論や法則を学び、習得度を測定する文部科学省後援の公的資格です。
カメラマンにとって、光や色彩について理論を通して理解することは、作品創りにおける表現力にも活かせるでしょう。
試験概要
1級・2級・3級とUC級があります。
夏季と冬季、年に2回の試験が実施され、1級は冬季のみ実施され、2次試験まであります。
難易度
各級とも70%の正答率が合格基準です。
2021年度における各級の合格率は、1級が52.7%、2級が77.9%、3級は76.8%、UC級が89.7%でした(公式サイトより)。
1級でも合格率は50%を超えているため、比較的難易度は高くない資格です。
試験対策としては、公式テキスト、過去問題集を繰り返し問いておくのがおすすめです。
語学に関する資格
海外からの観光客や外国人が多い地域で仕事をする場合、語学力が必要となるシーンも度々あります。
接客や撮影時のコミュニケーションに日常英会話がある程度できることは、カメラマンの仕事をする上で強みとなるでしょう。
例)実用英語検定・TOEIC
よく知られている資格として、実用英語検定やTOEICがあります。
実用英語検定の場合は、準2級から2級、TOEICの場合は600点を目安に、日常会話がこなせるレベルと考えられることが多いようです。
写真館への就職や転職を考える場合、コミュニケーションスキルのアピール要素として有利な資格といえるでしょう。
難易度
実用英語検定について、現在は公式サイトで合格率は公表されていません。
参考までに、2016年度における2級の一次試験(筆記)の合格率は約27%、二次試験(スピーキング)は80.4%だったようです(公式サイトより)。
2016年度英検2級の合格率(調査対象は高校生):https://www.eiken.or.jp/eiken/info/2016/pdf/20160729_pressrelease_passrate.pdf
車の運転免許
スタジオだけではなく、ロケーション撮影などで移動をともなう場合、車の運転ができると活動の場も広がります。
重い機材を運ぶ時や公共交通機関が不便な場所への移動では、役に立つことも多いでしょう。
例)普通自動車第一種免許(AT限定含む)
通常は自動車教習所に通い講習を受けます。
学科と技能を習得し、卒業後に運転免許試験場で本試験に合格する必要があります。
教習所での一定期間の講習と、受講費用も高額となるため(250,000円から300,000円前後)、時間的・経済的に余裕がある場合は取得を検討してみても良いでしょう。
警視庁の運転免許関連(東京都の場合):
まとめ
それぞれの資格について参考になりましたでしょうか。
フォトグラファーの仕事に必須の資格はありませんが、写真に関わる資格を持っていることがスキルの証明にもなり、転職やキャリアアップに有利に働くでしょう。
語学や色彩などプラスアルファの資格を取得すれば、カメラマンとして未知の分野や、新しい仕事にチャレンジする自信と意欲にもつながりそうです。