浴衣の着付けは着物と同じ?それぞれの特徴を解説

浴衣の着付けは着物と同じ?それぞれの特徴を解説

夏の風物詩「浴衣」。

お祭りなどでは浴衣姿の女性も多く見かけ、着物より身近に感じる人も多いかもしれません。

同じ和装である着物とは一見似ていますが、着付け方にはどんな違いがあるのでしょうか。

この記事ではそれぞれの歴史、素材や仕立ての違いから、着こなし方、価格・入手方法なども解説していきます。

浴衣と着物のそもそもの違い

浴衣は本来、着物とは着る目的や場面、素材や仕立てに違いがあります。

まずはそれぞれの由来や素材・仕立ての違いを確認してみましょう。

歴史、素材や仕立てについて

着物

着物は3世紀頃の呉の国(現在の中国南部)から伝わり、呉服とも呼ばれます。

平安時代に貴族の衣装となり、その後発展を続け江戸時代に現在の着物と言われる形になります。

明治時代に西洋の洋服が取り入れられるまで、日本の伝統着、日常着として着用されてきました。

浴衣

浴衣はもともと平安時代の貴族が入浴時に着用したもので、語源は「湯帷子(ゆかたびら)」と言われています。

当時の入浴は蒸気を浴びる蒸し風呂のようなもので、身体を隠すため、さらには火傷の防止や汗取りの目的で着用されていました。

その後、湯上り着や寝間着として使われ、江戸時代に現在のような外出着として着られるようになりました。

素材

しっかりと厚みのある生地、絹などで作られることも多い着物に対して、夏に着る浴衣は吸湿性が高く、扱いやすい素材が用いられます。

着物の代表的な素材

  • ウール
  • 木綿

浴衣の代表的な素材

  • 木綿
  • ポリエステル

仕立て

着物と浴衣では仕立て方にも違いがあります。

仕立てには、単衣(ひとえ)と袷(あわせ)の2種類があります。

単衣(ひとえ)

裏地がなく、生地が一枚になっているものです。

浴衣ではこの単衣での仕立て方のみになります。

軽くて涼しいため、夏用の着物もこの方法で仕立てられます。

袷(あわせ)

秋から春(主に10月から5月)の間に着る着物の仕立て方です。

裏地があり、生地を二重に縫い合わせています

二重になっているため暖かく、寒い時期の着用にも適しています。

浴衣と着物の着付け方の違い

次に浴衣と着物の着付け方の違いを見ていきましょう。

大きく異なるのは下着(襦袢・下に着るもの)、帯、足元(裾、足袋、履物)の3つだと言えます。

下着(襦袢)

着物

肌襦袢や裾除けなどの肌着をつけ、その上にインナーにあたる長襦袢を着ます。

長襦袢は汗などの汚れから着物を守る役割であると同時に、襟元や袖口から生地を見せることで重ね着をしているように、着物を美しく着るためのものでもあります。

浴衣

もともと外出着ではなかった浴衣は、通常は肌着(肌襦袢)の上に直接着ます。

着物と浴衣では、合わせる帯の幅、小物使いに違いがあります。

着物

丸帯、袋帯、名古屋帯など、幅の広い帯を使用します。

帯の形が崩れないように小物(帯揚げ、帯締め)を使って固定します。

浴衣

半幅など、幅の狭い帯が用いられます。

帯揚げ、帯締めは基本的には使用しません。

足元

着物

素足に足袋をつけ、草履または下駄を履きます。

フォーマルな着物の場合、裾線(すそせん)は足の甲にふれるくらいの長さで着るのが良いと言われています。

浴衣

素足に下駄、または草履を履きます。浴衣の場合、裾の長さ(裾線)はくるぶしが隠れるぐらい、着物の場合よりやや短めの仕上がりとなるのがバランスよく、上品に見えます。

浴衣と着物はどう着こなす?

着用シーン

着物は、結婚式や成人式など主にフォーマルな場や式典で着用されることが多いです。

年間を通して着用する着物に対し、浴衣は基本的に6月から9月の夏場に限られます。

花火大会や盆踊りなどカジュアルな場面、夏のお出かけ着として着用することもあります。

現代風の着こなし方

着物

着物は正装・礼装としてだけでなく、普段のお出かけ着として着用する場合もあります。

カジュアルな場面では伝統的な着方にとらわれることなく、今風にアレンジすることも可能です。

シックな色柄の着物や帯を取り入れたレトロモダン風、帽子やアクセサリー、レース素材、靴など洋服に合わせるアイテムを取り入れ、新しい着物の着こなしも浸透しつつあります。

浴衣

浴衣はもともとカジュアルな場で着用するため、大胆な色柄、ヘアスタイル、アクセサリーなど、可愛く個性のある着こなしも取り入れやすいでしょう。

また、通常は着用しない長襦袢を重ね着し、帯揚げ・帯締めをつけ、足袋に草履を合わせて着物風に着ることもできます

着物風の着付けは上品で大人っぽく見えるため、着用シーンも広がります。

取扱店や入手方法、価格の相場

着物・浴衣の取扱店

購入する場合はデパートや着物チェーン店、呉服店、リサイクル専門店に加え、ネット通販も豊富にあります。

また浴衣の場合は大手の洋服量販チェーンなどが夏の期間のみ取り扱うこともあり、比較的お手頃な価格で購入できます。

着物、浴衣ともレンタルサービス(店舗型・ネット型)もそれぞれ充実しています。

初心者や着る機会が少ない方は、着付けも頼めるレンタル着物は利用しやすいでしょう。

価格の相場

着物・浴衣はその生地や仕立て、販売するお店によって価格帯に大きく幅があります。

着物

着物の種類や染め方(手染め・型染め)、素材や仕立て、購入する場所によって、手頃な価格のものから高価な品まで多種多様にあります。

例えば、初心者用の小紋などで安いものは小物一式セットで15,000円前後から、ネット通販で購入することもできます。

高級品になれば数十万円から、反物から仕立てる場合は100万円を大きく超える品もあります。

浴衣

浴衣も着物と同様に、素材や仕立て、ブランドによって高価なものでは数万円から数十万円する場合もあります。

安価なものとしては、浴衣・帯・下駄のセットで3,000円前後から購入できる品もあります。

まとめ

浴衣と着物、それぞれの特徴や着付け方の違いについて解説してきました。

浴衣は着物と比べて着付けのステップも少なく、カジュアルなシーンで着ることも多いため、より初心者にもチャレンジしやすいでしょう。

また安価なものが入手しやすいため、アレンジやコーディネートの自由度も高く、幅広い世代に親しまれています。

浴衣文化は今後も少しずつ変化をとげていくかもしれません。