着付け師に必要な資格とスキルは?取得の難易度とともにご紹介

振袖も着付けられる着付け師になるためには?必要な資格はある?

着物を楽しむために着付けを学ぶのなら、独学でもできます。

しかし、着付けを仕事にする場合は、着付け師として知識と技術を身につけなければいけません。
そのためにも、まずは資格を取得し、その後に技術やスキルを覚えていくことが、着付け師として活躍するための近道です。

ここでは、活躍できる着付け師になるために必要な資格とスキルを、詳しくご紹介します。この記事を読むと、活躍できる着付け師になるために何が必要なのか理解できます。

着物業界に興味があり、着付け師になりたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

着付け師の資格の種類と難易度

着付け師になるには、必ずしも資格は必要ではありません
しかし、着付けの現場では即戦力が求められるため、資格を所有していた方が就職に有利と言えます。

着付師の資格には、民間資格と国家資格があります。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

【民間資格】

民間資格は、スクールに通うことで取得可能です。
種類はさまざまですが、資格を取得することで、全く未経験の人よりは就活の際に差をつけられます。

民間資格には、以下のようなものがあります。

  • 着物免許
  • 着付講師認定証
  • 着物着付け講師
  • きもの講師
  • 着付け師など

民間資格には、それぞれ初級程度〜上級程度の取得度があり、初級は趣味で着付けができる程度、上級を取得するとさまざまな着付けや着付けのサポートが可能です。

着付け師として活躍したいのなら、ぜひとも上位資格取得を目指しましょう。

【国家資格】

国家資格には、厚生労働省が認可している着付け技能士があります。
一級と二級があり、受験するためには実務経験が必要です。

受験資格

実務経験

一級

5年以上
(各種教育機関の修行時間によっては、2〜4年に短縮になる)

二級

2年以上
(各教育機関の修行時間によっては免除になる)

試験内容もそれぞれに学科と実技があり、一級の方が難しくなります。

《学科試験》

学科試験の内容は以下のとおりです。

  • 着物の知識と名称
  • 男女の着物の違い
  • 着物のたたみ方
  • 着物の織物・染物の知識
  • 着物の着用時期
  • 着物の格
  • 帯の種類
  • 着付け小物・装身小物の種類および用途
  • 着物・帯・小物の合わせ方
  • 着付けの心得・作法・技法
  • 美容師法関係法令のうち、着付けに関する部分
  • 繊維の知識(一級のみ)

《実技試験》

実技試験は、決められた時間内に以下の着付けができることが求められます。

一級

  • 浴衣
  • 街着
  • 付下げ
  • 訪問着
  • 付下げ訪問着
  • 色留め袖
  • 黒留め袖
  • 中振袖
  • 紋服(羽織・袴)

二級

  • 浴衣
  • 街着
  • 付下げ
  • 訪問着
  • 付下げ訪問着


着付け技能士は、試験に合格しないと名乗れません。
そのため、就職や転職により一層有利になるでしょう。

着付け技能士を取得するのは容易なことではありませんが、冠婚葬祭の場や撮影の現場など、着付け師が活躍する場面は多くあります。

着物業界で活躍したいと考えている方は、ぜひ取得を目指してください。

着付け師として活躍するのに必要な3つのスキル

優秀な着付け師を目指すのであれば、資格取得の他にも、以下のスキルを磨きましょう。

  • 提案力
  • お客様の魅力を引き立てる着付けをする能力
  • 臨機応変に対応できる能力


着付けは、お客様を相手に行うものです。

好みを聞き、魅力的に見える着付けができるようになれば、他の着付け師と差がつき、着付け師として業界で活躍できるようになります。

必要なスキルについて、詳しく解説します。

提案力

サービスや商品の良さを、お客様にわかりやすくアピールする能力が提案力です。

着付け師が提案力を身につけると、お客様の要望や好みを取り入れながら、似合う着物や小物などのトータルコーディネートを提案できるようになります。

それによりお客様が満足し、信頼を得られると、着付け師として飛躍のきっかけになります。

提案力を鍛える方法は4つあります。

  • 聞く力を高める
  • 相手に合わせる
  • 知りたいことや求めることを予測する
  • 伝わりやすい言葉で話す

提案力を鍛える方法は難しくないので、ぜひとも試してみましょう。


1.聞く力を高める

提案力を鍛えるために、はじめにやることは聞く力を高めることです。
提案するためには、相手の要望や悩みを確実に理解しないとできません。

そのためにも、何気ない質問などをして、お客様との距離を縮め、潜在的なニーズを引き出すことが必要です。

雑談を交えると、お互いに話しやすくなります。

2.お客様に合わせる

お客様は、当然のことですが着物の知識が豊富にあるとは限りません。
そのため、説明するごとに理解しているのか確認するようにしましょう。

次々と提案するのではなく、お客様に合わせるようにすると信頼度も高まります

3.予測力を身につける

予測力とは、お客様の知りたいことや求めることを予測して、推測することを言います。
いい提案をするためには、予測力が必要です。

例えば、体格や骨格に悩みがあることが推測できれば、その部分をカバーする着付け方法を提案できます。

4.わかりやすい話し方や言葉で伝える

提案するときには、お客様にわかりやすく話すようにしましょう
専門用語は、誰が聞いても理解できるような言葉に置き換えます。

なぜなら、話を聞いて悩みや解決法が分かっても、お客様にきちんと伝わらなければ不安と疑問を持たれてしまいます。
そのせいで提案を受け入れてもらえなかったら、全てが水の泡です。

わかりやすい話し方や言葉を意識することで、提案力は次第に高まります。

お客様の魅力を引き立てる着付けをする能力

お客様の魅力を引き立てる着付けをするためには、個々の体型や骨格などを見極めることが大切です

着付け方法に正解はありません。
それ故に、お客様の体型や骨格に合わない着付けをすると、お客様の魅力が引き立たないだけでなく、不信感を与えてしまうこともあります。
反対に、個性に合わせた着付けができると、お客様の魅力が引き立つようになります。

着付け師として活躍するために学ぶことは、知識や技術だけではありません。
実践の場から、お客様の体格や骨格を見極めて、魅力を最も引き立てる着付けをする必要があります。

臨機応変に対応できる能力

着付け師には、臨機応変に対応できる能力も必要になります。
それは、着付けの際に全ての道具が揃っているとは限らないからです。

お客様が持ち込んだ着物を着付ける場合、半衿や伊達締めなどが不足している時もあります。
その場で販売している物を購入してもらい、着付けることも可能ですが、できることならお客様の負担は減らしたいものです。

そのようなときに、どれだけ機転を利かせて今あるもので代用できるのか、着付け師の技量が問われます。

例えば、帯枕がない場合には丸めたタオルにストッキングを掛けて代用可能です。
同様に、伊達締めは包帯やビニール紐で代わりが効きます。

このように、柔軟な発想で状況に対応していく能力は、ぜひとも、着付け師として身につけたいものです。

まとめ

着付け師になるには、資格は特に必要ありません。
しかし、資格を取得することで実力を証明できるようになります。

着付け師の資格は、民間資格と国家資格があり、国家資格である着付け技能士が最も難易度が高いものになります。
また、資格と同時に必要な2つのスキルも身につけるように心がけましょう。

着付けは、独学では自分の実力がどれほどのものか正しく理解できず、転職してから苦労する可能性があります。
着付け師として、いち早く着物業界で活躍したい方は、先に着付け教室などで学ぶのがおすすめです。

基礎をしっかり身につけてから着付師として就職すると、飛躍できるスピードが違いますよ。